IPv4 のサブネット設計では、/30(255.255.255.252) が 「ホスト2台専用のネットワーク」として扱われます。 ルーター同士の接続や、ONU とルーターの接続など、 点対点リンク(Point-to-Point) でよく利用されるマスクです。
ではなぜ、/30 ではホストが 2 台しか使えないのでしょうか。 その理由は ビット構造とプロトコル上の役割 にあります。
/30 の本質:ホスト部が 2 ビットしかない
/30 は、ネットワーク部が 30 ビット、ホスト部が 2 ビットです。
[ネットワーク部 30bit][ホスト部 2bit]
ホスト部が 2 ビットで表現できる組み合わせは 4 通りです。
| ホスト部 | 2進 | 10進 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 00 | 0 | ネットワークアドレス | 使えない |
| 01 | 1 | ホスト | 使える |
| 10 | 2 | ホスト | 使える |
| 11 | 3 | ブロードキャスト | 使えない |
つまり、 ホストとして使えるのは 01 と 10 の 2 つだけ になります。
なぜ 00 と 11 は使えないのか
これは「技術的に使えない」のではなく、 IPプロトコルで役割が決められているため使えないという性質のものです。
● 00(ホスト部が全て 0)
→ ネットワークアドレス その区画そのものを表すため、ホストに割り当てると意味が壊れます。
● 11(ホスト部が全て 1)
→ ブロードキャストアドレス その区画の全ホスト宛ての特別な宛先です。
この 2 つは プロトコル上の予約番号 なので、 ホストに割り当てると ARP やルーティングが破綻します。
具体例:192.168.1.0/30 の場合
| アドレス | 役割 |
|---|---|
| 192.168.1.0 | ネットワークアドレス |
| 192.168.1.1 | ホスト(使える) |
| 192.168.1.2 | ホスト(使える) |
| 192.168.1.3 | ブロードキャスト |
→ 使えるホストは 192.168.1.1 と 192.168.1.2 の 2 台だけ。
/30 が実務で重宝される理由
● ① 無駄がない
ホスト2台だけでよいリンクに /24 を使うと、 254個のアドレスが無駄になります。 /30 なら 必要最小限の4アドレスで完結します。
● ② ルーター間リンクに最適
ルーター同士の接続は通常 2 台だけなので、 /30 が最も効率的です。
● ③ 設計が読みやすい
/30 は 4 アドレス単位で区切られるため、 ネットワーク設計が視覚的に分かりやすくなります。
/31 との違い(補足)
近年は RFC 3021 により、 /31(ホスト部1ビット)でも点対点リンクが可能になりました。
/31 の場合:
- 00 → ホスト
- 01 → ホスト
- ブロードキャストを使わない特殊ルール
つまり ホスト2台を /31 でも実現できるようになりましたが、 依然として /30 は多くの機器で標準的に使われています。
まとめ
- /30 はホスト部が 2 ビット
- 00 はネットワークアドレス
- 11 はブロードキャストアドレス
- 使えるのは 01 と 10 の 2 つだけ
- そのため /30 はホスト2台専用のネットワークになる
- 点対点リンクで最も効率的に使われる
CIDR の本質は「ビットの区切り方」です。 /30 はその最小単位として、ネットワーク設計の中で重要な役割を持っています。