コーヒーチェーンというと、新しい店が増えていく姿を思い浮かべることがあります。街の角に看板が灯り、人が集まり、少しずつ地図が埋まっていく。その流れは成長の象徴のようにも見えます。
けれど、ときには店を増やすことではなく、店を閉じることが選ばれることもあります。今回のスターバックスの発表は、その静かな方向転換を映しているようにも見えます。
約1万8,000店のうち250店という数字は、全体から見れば大きな割合ではないのかもしれません。それでも、一つひとつの店舗には地域の風景があり、通い慣れた人の時間があります。閉鎖という言葉は数字で語られますが、その背後には小さな日常が重なっています。
一方で、店を残すために店を閉じるという考え方も存在します。メニューを整理すること、待ち時間を短くすること、人や設備へ投資すること。そのために不採算の場所を見直す。伸ばすことより整えることを優先する局面があるのかもしれません。
企業の成長は、いつも右肩上がりの線だけで描かれるわけではありません。広がり続けることよりも、いま持っている形を整えることが必要になる時期があります。
店舗の灯りが消える場所がある一方で、残された店舗には別の役割が託される。閉鎖という出来事は後退のようにも見えますが、見方を変えれば、次の形を探すための余白なのかもしれません。