「聖人」と「諸聖人」。一見すると似たような言葉ですが、その意味は「限定」か「全員」かという決定的な違いがあります。
結論から言うと、この2つの違いは以下の通りです。
- 聖人 = 選ばれたごく一部の「VIP(有名人)」
- 諸聖人 = 天国にいる「死者全員(無名の人々も含む)」
「諸(All)」という一文字がついただけで、なぜこれほど大きな違いが生まれるのでしょうか。そこには見事な言葉の逆転劇がありました。
「聖人」とは、ごく一部のVIP
「聖人(Saint)」とは、歴史に名を残したごく一部の偉人だけに与えられるVIPです。
つまり、「聖人」という言葉単体では、選ばれたエリートという「限定された枠」しか指せません。
「諸(All)」をぶつけて、VIP枠を「死者全員」へ開放した
そこで、VIP(聖人)の頭に「諸(All=すべての)」を強引に接続して生まれたのが、「諸聖人(All Saints)」という言葉です。
- 聖人 = VIPだけの限定枠
- 諸聖人 = 「VIPかどうかは関係なく、天国にいる死者は全員 VIP ということにしちゃえ!」
「選ばれた有名人」を指す排他的な言葉に「諸(All)」をぶつけたことで、VIPエリアの扉が一気に開きました。
言葉を組み合わせた結果、直訳の「すべての有名人」ではなく、歴史の記録に残らなかった無数の普通の人々まで丸ごと含めた「死者全員」を指す言葉へと変化したのです。
まとめ:「限定」から「全員」への逆転劇

- 聖人 = 有名人の限定枠
- 諸聖人 = 「諸(All)」をくっつけて、力技で一般人にまで開放した死者全員
カレンダーの365日という枠には、名前のある有名人しか入れられません。だからこそ「諸(All)」を被せて、1日に全員まとめて突っ込むという「言葉の発明」が行われました。
歴史はどうしても有名人の名前ばかりを記録します。
しかし「諸聖人」という言葉は、「聖人(VIP)」という限定表現を逆手にとり、歴史の波間に消えていった「名もなき死者たち」を一人残らず祝福するために作られた、世界で一番優しい言葉の逆転劇なのです。
